幼なじみじゃイヤなんだ。
雪見さんは、ベンチに腰掛けた流瑠の前に立ち、話しかけ始めた。



そんな2人の様子を見た観客席からは、嫉妬混じりの溜息が漏れる。



流瑠は観客席に背を向けて座っている。




私からは流瑠の顔が見えない。

雪見さんの表情だけが見える。





楽しそう。

嬉しそう。




私の胸の中がどんより曇っていくのを感じる。

自分が嫌いになりそうな程の胸の澱(よど)みに思わずその2人から目を逸らした。






その瞬間早苗と目が合った。




「…」




早苗と私の間に何とも言えない沈黙が流れる。





「…あ!そ、そうだ早苗しりとりしない」


「は?」





早苗は心底びっくりした様にそう言った。

しりとりなんてどうでも良かったんだけど。


何でもいい、何でもいいから、この澱みを紛らわして欲しかった。
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