幼なじみじゃイヤなんだ。
部屋から出て、階段を下りる。



キッチンから温かいにおいが漏れている。

今日ばかりはそれにも心が弾まない。





「…学校行きたくない」





溜息と一緒に言葉も漏れた。





「あら、桜?おはよう!早いわね」




リビングへの扉を開けるとキッチンからお母さんが顔を覗かせる。





「おっ!桜おはよう!今日は学校早いのか?」





朝ごはんを食べているお父さんは無駄にテンション高い。





「おはよう。ちょっと早く目が覚めただけ」




お父さんの声に反比例して、私のテンションは低い。


キッチンでミルクティを入れて、お父さんの椅子に座わる。





「何だ?桜!元気ないな?」


「…そんな事ないよ」





マグカップに入れたミルクティを見つめながら、テンションが上がらない声でそう答えた。
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