幼なじみじゃイヤなんだ。
その目線の先は、私の後ろで扉の辺りを見てる。




私も振り向こうとした瞬間、上坂くんが抱きしめている腕に力を入れた。


そうされることで振り向けなくなってしまって。





でも、腕に力を入れられることによって、忘れていた抱きしめられているという事実を思い出して再び動揺した。





「あの!か、上坂くん!とにかく、は、離して…」





たぶん、また『イヤ』とか言われるのを覚悟の上で腕の中で抵抗を始める。


手で、胸元をグイっと押し返した瞬間、意外にも簡単に上坂くんは腕を離した。




解放された体で、後ろを振り向く。


さっきと違う状態を目にして疑問が漏れた。





「あれ?」


「……」


「上坂くんさっき扉の方見てたよね?」


「…そう?あんまり記憶にないけれど?」


「扉、開いてたっけ?」


「…さっき開けっぱなしで入って来たのは相澤さんでしょ?」


「え?そうだった?おかしいな?閉めたと思うけどなぁ?」





扉の方を見つめながら首を傾げる。


閉めたとは思うけれど、さっきは流瑠のことでだいぶん動揺していたから、正直記憶は曖昧。




上坂くんがそう言うならそうなのかもしれない。





< 415 / 606 >

この作品をシェア

pagetop