One Night Lovers
 でも私は欲張りで寂しがりやだから、いつもそれだけでは満足できない。好きな人にはあれもこれもと求めてしまう。

 その分私も相手に全て捧げるつもりで尽くしているのに、いつの間にかそれは当たり前になり、もう少し経つと重荷になる。最後に邪魔になって捨てられる。

 結局、私は面倒な女なんだろう。

 元彼と別れてからようやくこの結論に達したが、彼を失ってこんなことに気がつくなんてただ虚しいだけだった。

 ぼんやりしている私の目の前にネネが立った。


「また終わったことを考えてるんでしょ? せっかく旅行に来たんだから楽しもうよ。たくさん飲んで、いっぱいおしゃべりしようよ。いい男もいるんだし、ね?」

「……いい男、かなぁ?」

「結構いい線いってると思うけどな。会社にいる男よりは全然マシでしょ」


 確かにウチの会社にいる同年代の男性社員は数が少ない上、私にとっては対象外だった。

 準備万端のネネに促され、私もバッグを持って立ち上がった。

 彼女の言うとおり、終わったことは考えても仕方がない。急に「今夜はこれまでにないくらい弾けてやる」という気分が戻ってきた。


「そうだね。じゃあ、もう終わったことなんか忘れてパーッと楽しく盛り上がろうかな」


 明るい調子でそう言うと、ネネは顔をくしゃくしゃにして笑いながら私の背中をポンと叩いた。
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