One Night Lovers
 ホテル内にはカジュアルなカラオケラウンジとムーディーなバーがあり、悩んだ末飲み放題という言葉に釣られて私たち4人はカラオケラウンジに腰を落ち着けた。

 しばらくは仕事の話など当たり障りのない話題が続き、テーブルの上のグラスはかなり早いペースで空になった。

 特にネネは最初から飛ばしていた。彼女が自ら志願してビールの一気飲みを披露すると、つられるように男二人も一息にグラスを空け、

 私も負けじとむきになって飲む。

 他のグループがカラオケを始めたこともあるが、だんだんと酔いが回り、それぞれの話し声は自然と大きくなる。どうでもいいような話題で大いに盛り上がり、久しぶりに私もほろ酔い加減で楽しい気分になっていた。

 そこで急にネネが「ねぇねぇ」と私たちを手招きした。

 軽い気持ちで全員がテーブルの真ん中に顔を寄せ合うと、ネネは突然ニヤリと笑い「これ、機密情報なんだけど」と前置きしてから囁くように言った。


「この中にあのカジケンと付き合っていた人がいるの」


 途端にネネを除いて全員の目が大きく見開かれる。

 そして私の顔から急に酔いが引き、目の前が一瞬暗くなった。


「カジケンって、あのイケメンで人気急上昇中のカジヤマケンセイ?」

「そうよ」
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