One Night Lovers
「なんで別れちゃったの?」
一番答えにくい質問が一番最初にトシユキの口から出た。
「まぁ、捨てられたってところかな」
軽く言うつもりだったが、頬が引きつって上手く笑えない。
「付き合ってたのっていつ?」
トシユキにはデリカシーがないのだろうか。それとも酔っているから気持ちが大きくなっているのだろうか。
答えたくはないが、仕方なく口を開く。
「一応、1ヶ月前までは……」
何とか繋がっていたのだ。1ヶ月前がほんの少し前のようでもあり、もうずいぶんと遠い昔のようにも感じられた。感覚がおかしくなっている。
「結構長い間付き合ってたの?」
「5年くらいかな」
元彼とは大学のときに知り合ったのだが、当時はまだ時折モデルの仕事をするくらいで、世間では全く無名の男だった。
女子の間ではそれなりに人気があったが、手の届かない人というわけでもなく、夏の集中講義でたまたま隣の席に座ったことから知り合いになり、彼のほうからアプローチしてきたのが恋の始まりだった。
「ってことは、売れる前からずっと……」
「まぁね。有名になる前は本当に普通の人だったんだけどね」
「じゃあ、売れたらやっぱりこうなっちゃった?」
トシユキは自分の鼻の前に握った手をくっつけ、天狗の真似をしてみせる。
それを見てケイゴがフッと笑った。そんなに面白い顔だったわけでもないのに、ケイゴがどうして笑うのかわからない。
一番答えにくい質問が一番最初にトシユキの口から出た。
「まぁ、捨てられたってところかな」
軽く言うつもりだったが、頬が引きつって上手く笑えない。
「付き合ってたのっていつ?」
トシユキにはデリカシーがないのだろうか。それとも酔っているから気持ちが大きくなっているのだろうか。
答えたくはないが、仕方なく口を開く。
「一応、1ヶ月前までは……」
何とか繋がっていたのだ。1ヶ月前がほんの少し前のようでもあり、もうずいぶんと遠い昔のようにも感じられた。感覚がおかしくなっている。
「結構長い間付き合ってたの?」
「5年くらいかな」
元彼とは大学のときに知り合ったのだが、当時はまだ時折モデルの仕事をするくらいで、世間では全く無名の男だった。
女子の間ではそれなりに人気があったが、手の届かない人というわけでもなく、夏の集中講義でたまたま隣の席に座ったことから知り合いになり、彼のほうからアプローチしてきたのが恋の始まりだった。
「ってことは、売れる前からずっと……」
「まぁね。有名になる前は本当に普通の人だったんだけどね」
「じゃあ、売れたらやっぱりこうなっちゃった?」
トシユキは自分の鼻の前に握った手をくっつけ、天狗の真似をしてみせる。
それを見てケイゴがフッと笑った。そんなに面白い顔だったわけでもないのに、ケイゴがどうして笑うのかわからない。