One Night Lovers
 ケイゴは笑いながらケータイをしまう。


「まだそこにいるんだ。二人ともしばらく帰ってこないから、そうかなって思った」

「み、見ちゃった……」


 向かい側でクッと声を上げてケイゴが笑う。


「だから言ったのに。今行かないほうがいいって」

「だけど、トイレに行きたかったんだもん」

「うん。仕方ないよね」


 よしよしと慰めるような口調で言うと、彼はしばらく誰も手をつけなかった枝豆を口に運んだ。

 私はまだパニック状態が収まらず、ただ目をパチクリとさせることしかできない。


「アイツら、この後どうするんだろう。トシの部屋に行くのかな?」

「ネネは……さっきそのつもりって言ってた」


 私の言葉にケイゴは小さく頷いた。

 そうなると、彼はどうするつもりなんだろう。

 急にそれが気になり、聞くべきか否か迷いに迷った。だってそれを聞いてしまうと、場合によっては私から誘っているようにも受け取られてしまう。

 どうしようと考えているとまたネネとトシユキの姿が思い出され、顔が発火しそうに熱くなった。


「ネネちゃんって積極的だよね。酒入るとますます?」


 悩んでいるとケイゴが先に口を開いた。枝豆が止まらない様子だ。


「うん。いつもあんな感じ……」


 彼の落ち着いた様子を見ていると、次第に私の興奮状態も収まってくる。髪型はライオンのように派手だけど、彼自体はおとなしい性格らしい。

 それにかなり飲んでいるはずなのに、少しも酔っていない。酔えないと言っていたのは本当だった。
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