One Night Lovers
「ルリは酔うとどうなるの?」

「見たとおり」


 ケイゴは首を伸ばして私をジロジロと観察した。


「別に変わんないよね。顔は真っ赤だけど」


 思わず手で顔を覆う。頬は熱があるのではないかと思うくらい熱い。


「今、どんな気分?」

「ふわふわして、とてもいい気分」

「へぇ。羨ましいな。俺も酔ってみたい」


 そう言ったケイゴは笑っているのに寂しそうな表情だった。何だか私だけ酔っているのが申し訳なくなる。


「もっとガッツリ飲んで酔っちゃえば?」

「そうしたいところだけど、もうすぐラストオーダーの時間」

「ウソ!?」


 首をめぐらせて時計を探した。いつの間にか11時を回っている。


「もうそんな時間なんだ」


 この店に入ってから2時間が過ぎたのだ。俄かには信じられなかった。


「そうだよ。部屋まで送る?」


 私はケイゴの顔を正面から見つめる。

 やっぱりはっきりさせておいたほうがいいんじゃないかと思ったとき、ケイゴが上目遣いで私を見た。


「それとも俺の部屋に来る?」
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