神様のイジワル
*2
あたりはいつの間にか、真っ暗。
気がつくと自分の家の前に立っていた。
あ…帰って来たんだ…
どの道をどうやって帰って来たのか、全くわからなかった。
家の玄関を開けると、父が顔の血管を浮き上がらせ、今にも怒鳴り散らすような形で立っていた。
「紗那!!何時だと思っとるんだ!今までどこほっつき歩いて……」
言われた瞬間、
我に返り、涙が溢れだした。
何も考えず、とにかく涙を出しつくしたかった。
あまりにも大泣きをしてしまい、さすがに父もビックリした。
「…おっおいっ…どうした…紗那。大丈夫か…?」
父がどれだけ言っても、頭の中には1ミリも入ってこない。
ただ、ただ、泣いていた。
もう、優心に会えないのか―――
もう、あの幸せだと思えた日は戻って来ないのか―――
やっと、幸せだと思えたのに―――
もう、ひとりになりたくないよ―――
2度も、大切な人を失いたくない―――