シブヤクーロン
「ここの101、角部屋だ。ほれ。合鍵は自分たちで作ってくれ。」
そう言った安田から、鍵を渡された。
奴は車に乗ったまま。
あたしたちは奴が心配で降りることが出来ない。
「おっさん大丈夫?智子さんと離れて‥」
「ガキは自分の心配しとけ。これからは自分で生きてくんだからな。」
よく分からない謎の男だったけど、自分の女を突き出すなんて、どんなだろうって心配はする。
美麗さん、変なものに手ぇ出さなきゃ、いー人だったのに。
やさしくて、綺麗で、素敵な人。
憧れてたのに。
依子も、きっとそう思ってる。
「ゆり、行くよ!おっさんありがとうね。たまには店に来てね~」
思いを振り切ったように、依子はドアを開けた。
これから、始まる。