シブヤクーロン
「ねぇ、なんか、どした?」
「ん…別にぃ」
駅のホームで缶ジュースを飲みながら、足元に置いたたくさんの荷物を見る。
そこへよりのハイヒールがフレームイン。
そんな高い靴で歩き回っても、全然平気な様子。
綺麗な脚。
ストッキング履いてきゅっと締まった足首がきらきら光ってる。
よく酔いつぶれて帰ってくるのに、その辺の手入れは抜かりない。
「ゆり疲れたでしょ?電車来たら寝ちゃいなよ。着いたら起こすから。」
「すぐじゃん。寝るひまないよ。」
「ゆり、なんか怒ってる?」
「は?なんで?」
ずっとよりを見てたんだ。だから黙ってしまっただけ。
それがよりには怒ってるように見えたんだ。
いろいろ思うとこはあるけど、せっかくよりが楽しんでいたのに…だからあたしは…
「ごめん、ちょっと疲れたかも。」
そう言いながらも、電車が来たのでよりの荷物も持ったのに…
「かも、ってなに。ゆりずっとつまんなそうにしてたじゃん、あからさまに。なんなの。帰れば?」
よりの言葉が突き刺さり、あたしは立ち尽くしてしまったけど、よりはあたしから荷物を奪いもせず、すっかり暗くなった街へと再び消えていった。
小さな喧嘩はよくしているけれど、なんとなくこれはお互いに帰れないなと思い、あたしが向かったのは安田の家だった。