妄毒シチュー



バン!



思わずトイレのドアを力一杯叩いていた。

「なにそれ!ふざけんなよ。
自分だけ新しい彼女出来て、幸せになったからってあたしの事哀れんで見下してバカにしてるでしょ!」


あたしを不幸のどん底に突き落とした張本人がそんな事言わないでよ。
そんな事願うくらいなら、どうしてあたしを振ったりしたのよ。

ドアを叩いた拳が、ジンジンと熱いくらいに痛んだ。


「バカにしてねーよ!本気でそう思ったんだよ。
それに彼女なんて出来てないし!」

「は?好きな女が出来たから、あたしと別れたんでしょ?」

「好きな人は出来たけど、付き合ってないし。
それどころかまともにしゃべった事もないし。
何歳かもしらないし……」

トイレの中から聞こえてくるコータの言葉に耳を疑った。
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