妄毒シチュー
出窓に座るあたしをとじこめる様に、窓枠に手をかけて見下ろす自称天使。
あまりの至近距離に咄嗟に体を離そうとしても、窓枠に座るあたしには逃げる場所はなくて。
思わず上がる心拍数。
彼は身動きの取れない様子を見て、小さく微笑んだ。
「……じゃあ、温暖化を止めるためにお互いが吐く二酸化炭素を吸い合う事からはじめようか」
そんなバカげた事を、恐ろしく真顔で言う自称天使は
長いまつげで縁取られた綺麗な瞳で、真っ直ぐにあたしの目の中をのぞきこむ。
瞳から頬に、鼻に……。
ゆっくりと下へ移動していく視線。
長い睫毛が伏せられて、彼の視線があたしの唇をとらえた。