妄毒シチュー
どくいり



「ねぇ、ミナちゃん!ゴミ袋1枚もらうよ」



さっきまでの荒みようが嘘のように、すっかり片付いた部屋で、自称天使が勝手に戸棚を開けて大きなゴミ袋を取り出してきた。

躊躇いもなくその半透明のビニール袋の中に、男物のTシャツを放り込む。

「あ!それ……」

コータの……。

「どうせ元カレのでしょ?捨てちゃいなよ」

思わず止めようと声をかけたあたしを振り返りもせず、彼は涼しい顔でコータが置いてった物を次々とゴミ袋に入れていく。

今日、夕方荷物取りに来るって言ってたんだけどなぁ。
勝手に捨てちゃまずいよね。
大切なものだってあるかもしれないのに。
捨てたって言ったらコータ怒るかなぁ。


んー。

……。


まぁ、いいか。

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