妄毒シチュー

「ただ、ちょっと古い牛乳使っただけだよ。
火を通してるし、別に大丈夫だと思う」

あたしがそう言って笑うと

「なぁんだ」

自称天使も安心したように笑って、スプーンの上のジャガイモを大きな口で食べた。

「元カレがね、図体はクマみたいに大きいクセに胃腸が弱くて、古い牛乳飲んだらすぐお腹壊す奴だったから。最後に嫌がらせしてやろうとしただけ」

「へぇー……」

口いっぱいにほお張ったジャガイモを飲み込むと、首を傾げてアタシを見た。

「ねぇ、ミナちゃん。元カレってどんな男だったの?」

「んー……?
そうだなぁ、あんたとは正反対のタイプだった」

< 29 / 122 >

この作品をシェア

pagetop