妄毒シチュー


ああ、なんて甘い誘惑。




抱き締められると安心するし、求められると救われる。

優しく髪をなでる指。
そして、甘い言葉をくれる声。

弱ったあたしを陥落させるには十分すぎる天使の誘惑。


「コータの事なんて俺が忘れさせてあげるから」


耳元で囁くその声に、何も考えずに頷きそうになる。
優しく髪をなでていた手が、ゆっくりと後頭部を押さえてあたしの自由を奪う。


「だから、ミナちゃん。俺を好きになって」


その甘い声はあたしの全身を痺れさせ、
優しく思考を麻痺させる。

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