妄毒シチュー

そんな事を思いながら、少しふらつく足でキッチンまで行き水道の蛇口をひねる。
勢いよく流れる水をコップについでごくごくと飲み干すと、小さなダイニングテーブルの上に食べかけのシチューのお皿が置いてあるのに気がついた。


「あれ……?」

なんでシチューが?


ニセ天使がシチューを食べたお皿は
きちんと洗ってくれたはず。


それなのに、
たった今まで食べてました、という感じでテーブルの上に置かれた、食べかけのシチューとスプーン。

不審に思いキッチンのコンロの上のシチューの入ったお鍋に触れてみると、温められたばかりの様でまだ熱かった。


「……?」

キッチンで首を傾げていると、


ジャ――――

またどこからか水の音がした。
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