天使のような笑顔で
家を出ると久々の快晴で、何だか気分が良かった。


最近天気があまりよくなかったから尚更だろう。

衣替えを終えたばかりのブレザー姿には、ちょっと暑く感じるぐらいだった。


この制服に身を包むようになって、半年が経とうとしている。


高校生になったという実感はイマイチまだ湧かないけど。

新しい通学路・新しい学校・新しい友達。

今までとは違う生活に、やっと慣れ始めていた。


高校は、結局例の矢島に誘われて緑ヶ丘になった。

バスケが強い事でも有名だったから、俺としても魅力的ではあったんだ。


和也はもっとランクが上のトコに行ってしまったから。

正直、ちょっと寂しかったりもする。


安以とは…あれっきりだった。


あの木の下で別れを告げられてから、俺達は会う事は無かった。

メールも電話も、お互いにしなかった。


俺としては、限られた時間を一緒に過ごした後は…遠距離恋愛をする覚悟でいたんだ。

だけど、彼女はそれを望まなかった。


物理的な“さよなら”と共に、気持ちまでも“さよなら”されてしまったんだ。
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