天使のような笑顔で
去り際にチラッと視界に入って来た彼女は、一緒にいた友達と何か話してるようで。
もう、こっちを見てはいなかった。
あんな子がいたなんて、今まで全然気がつかなかった。
クラスが離れてるからなんだろうけど。
何て名前なんだろうか?
どんな子なんだろうか?
彼氏は…いるんだろうか?
突然現れた、安以の化身のような彼女。
一瞬にして、彼女は俺の脳内を支配してしまった。
安以がいなくなってしまって、少し空いていた胸の穴。
それが、彼女によって埋まりそうな気がして。
天使が…戻って来てくれた。
馬鹿げてるけど、そんな風に思ってしまったんだ。
半年後。
俺は、その彼女とつき合うようになり。
その彼女を…小学生に奪われてしまう。
もちろん、今の俺はそんな事を知る由も無かったんだけどさ。
【完】