天使のような笑顔で
キュッ キュッ


バスケ特有の音が、体育館の入口から聞こえてくる。

このバッシュが床と擦れ合って出る音が、俺は好きだった。


その後に続く、ドリブルの音。

シュートがリングに当たる音。

そしてまた、バッシュの音が聞こえる。


音を聞くだけで、体がうずうずしてくる。


「俺、着替えてくるから。とりあえず、ここで待ってて?」


体育館のすぐ裏に、バスケ部の部室はある。

そこでユニフォームに着替えて、練習するんだ。


「はい、分かりました」


彼女を体育館の入口で待たせ、部室へと小走りで急ぐ。


その足取りがどこか浮足立っているのは、自分でも分かっていた。

まるで、桜庭さんが自分の彼女にでもなったかのような錯覚に陥ってしまう。


マジで惚れちゃってるよな、俺……。


部室に辿り着くと、いつもより速いスピードで俺は着替えを済ませていた。
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