天使のような笑顔で

dejection

「それで?」


「『それで?』って何が?」


「まさか、宿題やって終わりじゃないよな?」


「……宿題やって、おやつ御馳走になって帰ったよ」


俺と和也の間に、しばし沈黙が流れた。


ここは、生徒会室。

昼休みに残務処理をしたいと言ったコイツにつき合わされ、俺もここで昼ご飯を食べている。


「お前…からかわれてんじゃねぇの?」


疑うような眼差しと目を合わせづらくて、俺は顔をそむけた。


「……分かんないよ、そんなの」


それが、本音だった。

からかわれてるのか、天然なのか。


どっちにしろ、俺とそういう関係になるつもりがないのは確かだ。


「蛇の生殺しだな」


そう言って、和也は笑った。


2人きりの室内。

彼女からは、誘ってるかのような発言の数々(誤解だったけれど)。


ずっとモヤモヤしながら、彼女の向かいで宿題をしていたのは確かだ。
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