もっと溺愛以上
「濠さんからの電話でしょ?何か、あったの?」

不安げな私の声に、有星はくくっと笑うと

「母さん、『設計デザイン大賞』をまた受賞したらしい。さっき内定の連絡があったってさ。あのぼんやりした母さんが、大きな賞を二回もとるなんて信じられないけど、仕事だけは一生懸命だもんな」

まるで他人事のように軽く言ってる有星だけど、表情は明るく、とても嬉しそうだ。

有星のお母さんの透子さんは、世間にも名前を知られている建築士。
透子さんの実のお父さんも著名な建築士だったらしい。

有星の双子の弟である竜我は、透子さんの遺伝子を受け継いだらしく、建築科のある有名な高校に入学した。自宅から遠いために、寮に入っている竜我にとっても、透子さんの二度目の受賞は励みになるはずだ。

「いつも落ち着いてる父さんも、ちょっと興奮してた。
俺と竜我が生まれる前に受賞した時よりも、嬉しいってさ」

ふふっと、思わず微笑んでしまう。
私の父さんと母さんも仲が良すぎて困るけれど、濠さんと透子さんの仲良しぶりも、負けていないから。

透子さんも、生まれつき心臓が悪くて、入退院を繰り返していたらしい。

今では何の心配もいらない透子さんの体調だけど、濠さんは心配し過ぎるくらいに気にかけている。

『透子さえいれば、俺は幸せなんだ』

今でも真面目にそう言う濠さんを見るたびに、私が照れて真っ赤になる。

そうなんだよね。

父さんと濠さんは、大学時代からの大親友で、お互いを分かり合いすぎるくらいに分かり合ってるけど。

一番の共通点は、奥さんを、とことん愛していることだ。

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