もっと溺愛以上
初めてのキスは、涙の味もした。
何度か、軽いキスを交わしていると、父さんが言っていた
『溺れる』
という気持ちがわかるような気がした。
きっと、今、私が有星に対して抱いている気持ちに違いない。
愛さずにはいられない、他には何もいらない気持ち。
きっと、こんな気持ちを抱えたまま、父さんと母さんは生きているんだ。
有星と気持ちが通じ合った、今の私なら、わかるよ。
幸せな気持ちでいると、突然、大きな音が部屋に鳴り響いた。
「え?俺の携帯?」
そっと私の体を離して、ポケットから携帯を取り出した有星は、一瞬顔を歪めた。
「もう一組の面倒くさい夫婦からだ」
小さくため息を吐いて、電話に出た有星は、私の手を握り、指を絡めてきた。
嬉しくて、私もすぐに握り返した。
「もしもし、うん、桜の家にいるから。……は?……またとったのか?
いつの間に、そんなすごい仕事してるんだよ。
で、母さんは?……わかった。おめでとうって言っておいてよ。
竜我も建築の勉強してるし、そっちも含めてマスコミ騒ぐんじゃねえのか?
……わかってる。しばらくは気を付けるから。
じゃあな」
話し終わった有星は、疲れたような顔をして、天井を仰いだ。
どことなく苦笑しているようにも見えるけれど、何があったんだろう。