飼い犬に手を噛まれまして

「茅野……」


「はっ! はい!」



 自分の席の後ろを振り返ると、鬼の形相の上司萌子先輩。



「十一時から、推進課の会議。お茶入れ茅野だけにお願いするね」


「推進課を一人ですかっ? そんなぁ……」


 うちの会社、推進課だけで四十人近くいるのに?


「私は、アナタの上司ですから、注意もするし、罰も与えます」


 萌子先輩……これって虐めですよね? 



「インク交換してきます!」


 棚から必要なものを手にすると、私は庶務室から慌てて飛び出した。




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