飼い犬に手を噛まれまして
「今度から、茅野が着替えとか用意してくれるか? 合い鍵作るからさ」
「あっ、合い鍵?」
ということは、私はいつでも郡司先輩の部屋に入っていい存在であるわけで、誰の許可も得ずに郡司先輩の身の回りのお世話をしてもいいってことだ。
「嫌なら、別にいいけど……」
「嫌なんて、そんなわけありませんっ! やらせてください!」
自由気ままに暮らしてきたこの×年間。誰からも拘束されずに好き勝手に生きてきたけど、今こうして目の前に私を受け入れてくれる人がいる。
「ハハハ、んな必死に言い返すなよ。ったく可愛いな。本当は抱き締めたいけど、シャワー浴びてないからやめとくな」