飼い犬に手を噛まれまして
ワンコの真っ直ぐな瞳。駆け引きとか、計算とか、そんなもの無しに真っ直ぐと私を見つめてくる。
「ううん、私も大人げなくてごめんね」
だから、自分もうんと素直になれる。
「実は、店のソファーで寝泊まりしてたんですけど俺三回も落っこちて体中、痣だらけ」
ジャージをまくった肘に、青い痣ができている。
「うわっ! 本当だ」
「結局、ソファーは諦めて床に新聞紙敷き詰めて寝たんですけど、体中痛くなっちゃって……だから、紅巴さんのありがたみが痛感できました」
新聞紙って……私が楽しい思いしてた時にうちのワンコは本当にホームレスみたいなことになってたんだ……
「今夜は、一緒に寝てもいいですか?」
「……へ?」