飼い犬に手を噛まれまして
「それにしても、郡司さんはなんで紅巴のこと苗字で呼ぶんですか?」
「ああ、たまにクライアントと会うときに茅野がお茶淹れてくれたりするんだよ。
その時間違えて名前で呼ぶと不味いだろ? だから、あえてそのまま。
ま、いずれ……な?」
朋菜は、ピンクのタオルをくるくると回して「キャーッ」と悲鳴をあげた。
「社内恋愛の辛いとこですねっ! でも、その障害が燃えますっ!」
すっかり意気投合した朋菜と先輩。
近々、朋菜の旦那さんのタカシさんも交えて四人で食事しようと約束して朋菜と別れた。
先輩は、私と朋菜の分までしっかりとお会計してくれて逆に申し訳ない気持ちだった。
「いや、思いがけず貴重な時間だったな。朋菜ちゃん、すごいいい子だな」
「はい、まさかです……朋菜とは腐れ縁で大学も一緒だったし、今は専業主婦だから週一でランチしてるんです」