飼い犬に手を噛まれまして


  窓際の席に案内されて、シンガポールで最初で最後の夜景を楽しむことにした。


「せっかくだからビール頼むけど、また酔ってキスしないでよね?」

「保証はしません」

「じゃ、ジュースにしよっか」

「嘘です。しませんよ! さすがに首に大量の真新しいキスマークつけた女の人なんて恐ろしくて襲えません」

「へ?」


 は、恥ずかしい。先輩がつけたの? やだ、ワンコの事に夢中になりすぎて、自分の首もとなんて全く気にしてなかったよ。


「今更隠しても、もう見ちゃいましたよ。あの短時間になにをしてたんだか……御馳走様です」



「う……」



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