飼い犬に手を噛まれまして


「それから、今回この作品を最優秀賞まで押し上げてくれたのは、たった三日間でクビになった、うちの副社長のおかげだと思ってます」


 会場がどよめく。先輩、何言うつもり?


「一番のライバルが恋にうつつ抜かしててくれたから」

 先輩てばっ! なんて大胆なこと言っちゃうんだろ!
 会場中がにどよめいている。その事情を全て知ってる人がこの会場に何人いるんだろう?

 社長もいてけど……先輩大丈夫?


「まあ、冗談はさておき。

 この賞は、俺がとったわけじゃなく、そうやって皆でとれた価値のあるものだと思います。
 今日がゴールなわけじゃない。これからも、もっとずっと皆で良いものをたくさんつくり出せるように頑張りたい。その為にこれからも、ますますこの業界が進化し、良いアイデアが沢山産まれることを楽しみにしています」


 ああ……先輩、最高すぎです……

 なんて格好いいんだろう!
 やっぱ、格好よさって外面だけじゃない。その全てなんだ。


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