飼い犬に手を噛まれまして
それでワンコとみはるさんが元通りに戻れるなら…………
私は、ミーナ様たちを前に頭を下げた。
「お願いします。ワンコをみはるさんに返してあげてください」
会社でも、シンガポールでも、ワンコを飼うって決めてから私はいつも損な役回りばかり。だけど、こんなふうに他人を必死に想うきっかけを与えて私を成長させてくれているのはワンコなのかもしれないから……
「どうしよっかなぁー!」
「ええーっ!!」
ミーナ様は腕を組むと、つんと横を向いてしまう。
「そこをなんとかお願いします」
駄目でも、力尽くじゃ負けそうだもん。お願いするしかない。
こんな時、先輩ならどうするんだろう……
「こらぁ! 三人とも、僕の大学の後輩相手に何をしてるんですかっ!」
バンとガラス扉が開いてスーツ姿の男の人が飛び込んできた。びっくりして、その場に固まっている私の前に颯爽と飛び出して、その男の人は拘束されているワンコを救出する。
「坂元くん、大丈夫ですか?」
「聖夜先輩……ダメっす…………」
ワンコはそのままくたり力が抜けて、スーツ姿の男性に抱きかかえられた。
「聖夜、つまんなぁい。今から楽しいとこなのに」
「そうですよ、邪魔しないでください」
「そーだ、そーだ」
女王様たちの抗議を無視したその人は、やっと私の存在に気がついたらしい。
「すみませんね……えっと、そちらは?」
「あ、え、あの、私はその子の飼い主さんとして呼ばれまして……」