飼い犬に手を噛まれまして
「ふふん」
萌子先輩が左手を突き出してきた。左手の薬指に光る大粒のダイヤモンド……
「まさか、婚約指輪……ですか?」
「大正解!」
「すみません、自分に縁がないものなので気がつきませんでしたっ! 先輩、いつの間に彼氏できたんですかっ?」
「ふふん。話せば長くなるわよ? 覚悟できてる?」
「……は、はぃ」
……と、いうわけで萌子先輩の無駄に長い話を要約すると、萌子先輩が結婚しないことにしびれを切らしたお父様が娘に内緒で結婚相談所に申し込みをしてしまい。そけで、私には到底出会えないような優しくて素敵な男性(萌子先輩の説明通りにいうならば)と出会ってしまったという。