飼い犬に手を噛まれまして


 ハンバーグ定食ランチをお腹いっぱい食べた私たちは萌子先輩の婚約話を続けながら会社に戻る。



「じゃあ、先輩と彼は、長い間お友だちみたいな関係だったんですか?」


「そうよ。向こうも親の勧めで乗り気じゃなかったの。

 お見合いパーティーではぐれた者同士、なんとなーく親近感わいちゃってね。それ以降も、なんとなーくお友だちとしてお付き合いしていて……で、ある日!」


「ああん! 先輩! その話、三回目です! なんとなーくレストランに食事に誘われて、なんとなーく『私も、もうすぐ子供を産むにも難しい年齢になっちゃうわ』って言ったら彼が……あれ、なんでしたっけ?」


「『僕の子、産んでくれませんか?』よ! ちゃんとインプットしなさい!」


「は、はい」


 何でそんなことインプットしなきゃいけないのかわからないけど、こんな些細な一言が人生を左右するなんて……











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