"朱雀"【唯一無二の光】
そんな隆司に私はまた冷たく言い放った。
「なに?ひいちゃったの?私はみんなが思ってるほど優しくなんかないし、豊かな感情をもってないの。みんなが思ってるほどきれいな心なんかじゃない。期待を裏切ったのならごめんなさい。じゃあ私はこれで」
……が、一向に手を話してくれない。
「悪いけど、手…離してくれない?私、教室に帰りたいから」
光哉くんはリストカットを隠しとる包帯に目をやった。
「…その手どうした」