桐華ー天然ボケ男が学園の王子様(女子)に恋しちゃったら【完】
「だってひむが作った方が美味しいのは事実だもん」
「音崎さん……うん? ひむ?」
桐さんは一瞬何とも言えない瞳で恋理を見て、首を傾げた。
「氷室のことだよ。なんつーか、あだ名?
一応昨日は安里とは初対面みたいなもんだったから、俺らも気ぃ張ってたのかな。そう呼ばなかったけど」
「ああ、なるほど。……長部先輩のも氷室くん作ですか?」
「だよ。ついでつって作ってくれるんだ。器用だよなー」
「器用ですね。私が弟子入りしたいくらいだ」
「あ、あと安里」
独りごちている様子の桐さんを、彼方が呼んだ。