・・・・・痛い。
 その晩、私たちはセックスをした。

私は彼の腕の中で違うことを考えていた。

それはサークルの先輩のこと。

前にも書いたとおり、私は最悪な女なのだと思う。

サークルの先輩は逃げ道。

私は彼のことを半信半疑だったから、きっと彼も私のことを半信半疑なんだ。

そう思っていた。

上手くやらなければならない。

彼は上手くやっているのだから、私もそんな素振りを見せないように上手くやらなければならない。

彼はセックスの最中に私のことを愛してるといった。

私はサークルの先輩のことを考えながら、ぼんやりとそれを聞いていた。

彼がにっこりと笑うと、私よりも2つ上なのにも関わらず幼さが現れた。

きっとこの笑顔もカメレオンのようにいつか変わってしまうのだ。

そんなことを思うと私は急に一人ぼっちになった気がした。

何かにしがみつきたくて、必死に彼の腕を握った。
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