女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~


「・・・・最近、部屋の模様替えをして、家具も新しく買ったんです」

 嘘ではない。桑谷さんは、ふーん、と言っていた。

 豚のしょうが焼きを定食みたいにして作って出したら、喜んで食べてくれた。飲みます?と聞いたら嬉しそうに頷いたので、缶ビールとグラスを出して置く。

「あ、美味い。嬉しいなー、人の作ってくれたご飯」

「ああ、それ判ります。一人暮らししてると有難いですよね、人が作ってくれるっていうのが、それだけで」

「そうそう」

 前に座って、私もビールをまた新しく出して飲む。

「・・・頬、赤くなってる」

 私のほうを見ずに、ご飯をかきこみながら彼が言った。

「3本目ですからー、ちょっと酔ってるかも・・・」

 ケラケラと笑ったら、機嫌いいなー、とホッとしたように彼が言った。

 ご馳走様でした、と彼が手を合せる。

「お粗末様でした~」

 私は綺麗に空になった食器を運んで流しに置いた。明日は私も休みだし、もう片付けは明日に回してしまおうと思っていた。ビールがぬるくなる。

「ありがとう、本当に美味かったです」

「いえいえ、喜んで頂けて何より」


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