女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~
「私は言いました。あなたの事が判らないと。好きかどうかも、今では判らなくなっているのって。私は、あなたとは、結婚、しませんって・・・」
ぼろぼろと泣いていた。私は近寄って、そっと彼女の細い肩を抱きしめた。
「・・・・よく頑張ったわね。でも今は、職場にいるの。泣いちゃダメよ。トイレで化粧を直して、売り場に戻りましょう。そして笑顔で接客するのよ。私たちは、男だけの人生なんか要らないんだから」
大体、あいつの周りにいたら殺されるかもなんだぞ、と心の中で付け加える。
彼女はぐっと息を吸い込んで、はい、と顔を上げた。涙で赤くなってはいたけれど、その顔には既に凛とした強さがあって、私は安心する。
「ごめんね、今は時間がないけど。8月が終わったら、一緒にご飯に行きましょう」
私が言うと、はい、楽しみにしてますといってくれた。
そして、携帯のアドレスを交換した。
階段を駆け下りながら考えた。
やはり、確実に守口・小林カップルの不仲説は浸透していたのだ。
そして投資の話を持ちかけられた人は不安になった。だから話に乗らなくなった。そしてきっと、斎に聞いたのだろう。お前らは、大丈夫なのか、と。本当にうまく行っているのかと。