女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~


 当然出てくる疑問への答えは既に用意してある。私はにっこりと微笑んで言った。

「コピーライターの卵なんです。部屋で仕事をしていますがそれだけではお給料が足りないので、パートを探していたんです。お仕事を頂けるなら、こちらのシフトを優先して頂いて構いません。仕事には影響ありませんから」

どうよ、満点の答えでしょう。

 福田と名乗った店長は安心したように頷いて、言った。

「自営されてるというわけですね。シフトを優先していただけるなら助かります」

 そして顔をほころばせて、こう言ったのだ。

「自営の方でしたら保険は国民保険でしょう?うちで今、保険付きのパートタイムも募集してるんですが、そちらで話を進めましょうか?」

 マジで!??と驚いてパッと顔を上げた。

 ・・・それは、願ってもない話だ。派遣会社で厚生年金に入っていたけど、それも首になり打ち切られているし、その関係で現在は健康保険すらない私だ。

 自営だと嘘をつくにあたって、国民健康保険になるなあと痛く思っていたのだった。

 凄い・・・こんなラッキー、滅多にないよ。捨てる神あれば拾う神ありって、こういうこと言うんだ~・・・。

「・・・あの・・・大変有難いです!」

 私の返事に気をよくしたらしい店長は、頷きながら言った。

「では、そうしましょう。経歴にも問題はありませんし、販売員の経験はないようですが接客業にはいらしたみたいだし。準社員扱いになりますので時給も200円上がりますから」


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