女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~
嘘お・・・寿司か、焼きそばか、な訳?
唖然とした私は、午後は客の入りが悪くなりますようにと不届きなお祈りをしていた。頼むぜ神様、貧乏な私にちゃんとしたご飯を頂戴。
あれから斎は大した動きを見せないが、よく視線を感じるようになった。前は思いっきり無視だったのに、とちょっと鬱陶しく感じる。ヤツの視線に気付いた竹中さんが、また見てますよ、守口さん、と毎回教えてくれるのだ。
「前、ストックですれ違った時に私が機嫌悪くてにらみつけたのを根に持ってるのよ、多分」
というと、そうなんですか~と頷いていた。
「守口さんて、小川さんには挨拶しませんよね?」
ぎょっとした。
「・・・よく見てるわね」
竹中さんはケラケラと笑う。勿論売り場なので声は抑え目だ。
「いやあ、よく考えたら、そんなシーンみたことないなって。あんないい男なのに、小川さん何が気に入らないんですか?」
「・・・全部」
「え!?あの顔も?」
配送の伝票をチェックしながらため息をついた。
「一度嫌いになると、あの綺麗な顔までもがムカついてしまって。そんなことない?」
竹中さんは勢いよく頷いた。