pianissimo.
「三年五組」

聞かれていないのに、学年もわざわざ答えてやった。ライガは「へっ?」と間抜けな声を漏らして目を見張る。傷付いて腫れた顔が余計に痛々しく見えて、ちょっとだけ罪悪感。

けれど面白いから「ふふっ」と笑い声を漏らしてしまった。



「凜子『せんぱい』……ごめんね?」

一応謝るも、ライガは大して悪びれる様子もなく、にんまり笑う。


「いいよ。三年で校則守ってんのなんか、私ぐらいだし」

つられて私の顔も綻んだ。



と、予鈴が静けさを破って鳴り響き、ライガが「やべっ、俺、飯食ってねぇや」と苦々しく顔を顰めて、よっこいしょと酷く難儀そうに立ち上がる。まだ身体、痛むみたいだ、大丈夫かな。


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