pianissimo.
隣にいるはずの桃色パンジーの姿は見当たらない。もしかしたら、彼女を待っているのかもしれない。私には関係ないことだけど……。



そそくさと、わざわざ出来るだけライガから離れた場所を通って校舎の外へ出た。

傍を通ったところで、それこそ私とライガの制服の袖が擦れたって、気付かれやしないのに……。そう思ったら嫌でも苦笑が込み上げてくる。



傘を差して駐輪場へ向かった。私は自転車通学、だから、余計に雨の日は憂鬱だった。

片手でハンドルを持つから不安定だし、ブレーキ片方しか握れないからあんまり利かないし。




「入れて」


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