pianissimo.
郁香は前の席に腰掛けたまま、私の机の上に半身を乗り出して、

「一年のライガのこと。昨日、ライガと一緒に帰ったんだって? すっごい噂んなってる」

何故だか声をひそめて言う。別にそんなことする必要ないのに……。ただ帰り際に偶然会って傘に入れてあげて、ついでに自転車にも乗せてあげただけなんだから。



「傘持ってなかったから、入れてあげただけだよ」

「どうしてラッシーが?」

「うん、前にちょっとだけ話したことあって」

「だからって、どうして?」

「さあ……。私に聞かれてもわかんないよ」

「そっかぁ」


腕を組んでうーんっと唸り、郁香は考え込んでしまった。どうでもいいのに、そんなこと。


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