pianissimo.
「凜子先輩」

背後から呼び掛けられ、驚いて身体が跳ねた。聞き覚えのある、低いけれど耳に心地良い声。ライガだ、聞き間違うはずがない。


ゆるゆると振り返れば、すぐ後に満面笑顔のライガが立っていた。その隣には、満開の桃色パンジー。ライガの腕に絡みついて、全身を委ねているように見えるほどベッタリと密着している。


幸せそうで何より。



「こんにちは」


意識的によそよそしい挨拶を口にすれば、「何それ?」と喉を鳴らして笑う。「挨拶じゃん」と返せば「そっかー」と今度は声を漏らして笑った。


相変わらず笑顔が眩しい。思わず目を細めたら狭い視界の中、ライガが「昨日ありがと」と礼を言う。私なんか何の役にも立たなかったのに。


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