pianissimo.
「ああ……」

納得したように溜め息みたいな細い声を漏らして、ライガは私をポカンと眺めた。

何かに気づいたようだ。まあ君が気付くべき重要事項は山盛りあるけども。



痺れを切らした彼女が、「はい、行きますよー」と冗談ぽく言って、ライガの腕をグイグイ引っ張り強引に連れて行く。


私の方を向いたまま遠ざかるライガを、ただぼうっと見詰めていた。胸がキュッとなるのはいつものこと。もう慣れた。



ライガと私の視線がいつまでも繋がっている、それすらも、どうしようもなく苦しくて。耐え切れずに私の方から顔ごと目線を逸らした。


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