無限ループ
私の幼い頃の記憶はとても断片的で全てを語る事はできないただ、愛されなかったことだけははっきりとわかる。
私が生まれてから池袋のマンションに三人で暮していた。父も母も金遣いが荒く、若かったこともあり自分の遊びを優先してしまい私に使われるお金なんてほとんどなかった。
そして水商売の若いお姉さんお兄さんが入れ代わり立ち代わり出入りする環境で私は泣くことすら許されなかった。
父の仕事は裏ビデオの制作。
子供の声が入っては台無しになると喋ったり泣いたりすると私を殴った。何度も何度も殴った。
母は何も言わずただそれを見ているだけ。
食事も与えられず痩せこけ、話し掛けられることのない私は言葉すら覚えなかったそうだ。
私の記憶に未だ残っている記憶に父が寝転んでテレビを見ている時にかまって欲しくて近付いたら壁に向かって放り投げられた記憶と残飯を漁っていた記憶がある。
親子のコミュニケーションは皆無。食事を与えられない私は残飯を漁るしかなかったんだろう。
その頃の自分の考えを思い出すことはできないけれど、ただ辛かったことだけははっきりと覚えている。
私が一歳の時、弟が生まれた。
弟もまた望まれて生まれてきたのではなかった。私と同じように虐待を受けた。
ただ、弟は私と違い暴力は受けていなかったらしい。幼い私が必死で弟を守っていたんだと祖母に教えられた。