たいむ あうと。
この屋敷で暮らすことは、プレッシャーや不安もあるけど、楽しかった。
大事な仲間が沢山いる……。
いられるだけで楽しかった。
ただ、戦争の旅に気分を落としていた。
大事な仲間を亡くすかもしれない。
自分が死ぬかもしれない。
戦争を無くす為に戦争をするのだと、光典は言っていた。
亜子はその言葉を信じて、戦っていた。
窓から見る星空は綺麗で、滅入ってしまうほどだ。
亜子はその景色を見ているうちに、自然に眠りについた。


ーチュンチュン…

朝。小鳥が鳴いているのが聞こえる。
ーと、いう事は……。

「亜子!!!」
亜子の部屋の扉が勢い良く開いた。
毎朝琥珀はこの時間にやって来る。
いつ小鳥が鳴くのか分からないのに、決まって一緒に訪れる。
それは長年の亜子の疑問である…。
「はいはい」
琥珀が来るのがもう分かっているため、支度は満タン。
まだ7時だというのに、二人は鍛錬場に向かう。

「今日も、一日が始まりましたね」
玲奈の部屋では、玲奈が起きて座っていた。
横にいる護衛役が言葉を返す。

「綺麗な太陽ですね」
「えぇ。今日も、皆を見守ってくださるでしょう…」
「玲奈様、分かっていると思いますが、無理はしないでください。それで昨日、倒れてしまったんですから」
玲奈は沈黙すると、しばらくして言った。

「…分かっています…」
護衛役も沈黙する。

「これがある限り、私は大丈夫です。ここから出られなくても、生きていけます」
玲奈の指には、昨日光典から貰った指輪がついていた。
玲奈は指輪を見つめて微笑んだ。
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