たいむ あうと。
鍛錬場では、亜子と琥珀が組み手をしていた。
剣技で勝てないのなら組み手!!と琥珀が言い出したからだ。
亜子は光典を見て空手をやっていたので、当然琥珀が叶うわけもなかった。
琥珀は決まって悔しがるが、亜子は分かっていた。
ー負けるのは今だけ。大人になったら、女なんて男より弱い…。
だからこそ、今琥珀に負ける訳にはいかない…。

午後になると唯が来て、3人で鍛錬したり話すのがいつものこと。
ただ、戦闘を控えた1週間前は、個人的に過ごしていた。
1ヶ月ほど前に戦いがあったので、もうすぐ収集の時期だろう…。
今日はそんな話をしていた。


昼食を食べるために食堂に行くと、光典が険しい顔をして座っていた。
机の上にはご飯があるが、考え事をしているのか、全く手を付けていない。
亜子が光典に歩み寄って、話しかけた。

「どうかしましたか?」
光典は亜子を見ると、「座れ」と言った。
何か大事な用件があるのだろう。
亜子は少し緊張した。
「木陰の一族と、条約を結ぼうと思う」
「はッ!!?」
その場にいた全員が驚きの声をあげた。
木陰とは、亜子達の一族が昔から争いごとをしてきた一族。
お互い毛嫌いしていて、良く睨みあっていた。
いつ攻撃してもされても可笑しくない状況だったので、木陰とはなるべく接触しないようにしている。
何故そこまでの関係になってしまったのかは、知らないけど…。

「-どうしてですか?」
「俺達は、先祖が嫌ってたからって理由で敵視してる。そんな理由で敵を作るのが馬鹿らしい。それに、危険な敵とは仲良くなって味方にした方が良いだろ?」

確かに…。
この状況を何とか打破したかったものの、プライドに負けて問題をそのままにしていた。
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