たいむ あうと。

その日の夜、亜子は琥珀と唯と野原に星を見にきていた。
危ないからと雅仁にはとめられただが、剣を持っていくことを条件に許された。
夜空は綺麗で、思わず泣きたくなるほどだった。

「…何で戦争はこの世から消えないんだろうな」
琥珀は、木陰との争いで両親を亡くしている。
木陰の一族に対する憎しみは、彼が一番大きいと思う。
亜子はその悲しみを、誰より分かっていた。

「あのときの琥珀は大変だったね」
「目全員に襲い掛かって、殺そうとしてたもんな…」
琥珀が寂しげに呟く姿が愛おしかった。
まだ幼くて、どうしたら良いのか分からなかった。
本当はこのとき、何かしてあげたかったんだ。
隣の唯を見るともう寝ている。
可愛らしい寝顔で、微笑んでいるように見えた。
亜子は唯の頭を撫でながら言う。

「もうそういう犠牲を出したくない。俺は、条約を結ぶのに賛成だ」
ーえ…。
琥珀がそんな事言うなんて。

いくら皆の為に言っても、憎悪は残っていると思っていた…。
何が何でも、そんな言葉出ないと思ってたのに。


「亜子はどう思ってるんだ?」
「…」
確かに木陰の一族は先代が嫌ってきたから好きではない。
だけど、琥珀みたいな人は出したくなかった…。
光典の気持ちも分かっていた。

「このまま条約を結ぶならそれでも良いと思ってる」
「ははっ。亜子らしい答えだな」
私らしい?その意味が良く分からなかった。
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