たいむ あうと。
「あ!!」
話題も忘れて亜子は空を見上げた。
一瞬だけど、大きな光を放つ星が見えた。
流れ星だ。

「すげ!!めっちゃ綺麗だった!!」
琥珀が喜んで笑いながら叫んでいる。
その声で起こされた唯は、目を開けてぱちくりさせていた。

「願い事したか?」
「…あ!!」
ー流れ星が消える前に願い事をすると、叶う…。
一瞬の事だったから、つい忘れてしまっていた。
流れ星を見た後に、亜子は、”平和”を願った。

「亜子」
「ん?」
琥珀は夜の光に照らされて、やけに綺麗な目をしている。
そのまま亜子を抱きしめて言った。

「好き」
ー嘘…。
亜子は胸が苦しくなった。
この人が愛しくて愛しくてたまらない。
自信は無いけれど、亜子も手をまわした。
「わたしも、好き」
「はははっ。知ってる」
「え!?」
「分かりやすいから」
つい恥ずかしくなって赤くなる。
そんな亜子を琥珀は笑っていた。

ーそうか、あのとき
こうすれば良かったんだね。

不器用で幼い2人の恋。
幸せで幸せで、戦争なんか忘れられた。
このまま時間が止まれば良いと思った…。
ずっと、琥珀といたかった…。


あんな残酷な事が待っているなんて、想像できなかった。
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