たいむ あうと。
「…あ」
呆然な顔をしながら座り込む。
肩の力が抜けて、涙が溢れて来る。
雅仁の近くに指輪が落ちているのを発見した。
「…!?」
とても綺麗なデザインで、キラキラと光っている。
ーこれは父さんの持ち物なのか…?
龍は無意識にそれを手に取り、握り締めた。
これが父さんの形見なんだ…
「何してるの…?」
「!!」
後ろを振り返ると、そこには亜子がいた。
生気のない目で、その場の光景を見ている。
玲奈と光典が死んでいるのを目で確認すると、彼らに近付いた。
「…おきて…?」
決して叶わない願い…。
ポロポロと涙が溢れてはこぼれる。
心が、叫んでる…助けてって。
亜子は視線を龍に向けた。
そのまま立ち上がって剣を構えた。
「何を…」
「許さない…殺してやる」
「…っ」
そのときだった。
炎がやってきて、辺りを囲もうとしていた。
逃げなければ自分も巻き込まれてしまう。
龍は未練を残しながらも、その場から逃げた。
「何してるんだ!!?」
龍は亜子を見て驚いた。
彼女はその場から離れようとしなかった。
ーこんなに辛いなら、ここで死んでしまっていい。
父上…母上…琥珀。一緒に…逝かせて…。